退職届を書こうと思ったものの、「書き方が合っているか不安」「退職願との違いがわからない」と手が止まっていませんか?
退職届にはテンプレート的な書き方があり、ポイントさえ押さえれば10分もかからずに完成します。ただし、用紙の選び方や封筒のマナーを間違えると、それだけで印象を損ねてしまうことも。
この記事では、退職届の書き方を例文つきでわかりやすく解説します。退職願との違い、封筒の選び方から提出方法まで、順を追って説明していくのでぜひ最後まで読んでみてください。
退職届と退職願の違いを30秒で理解する
退職届は「届け出」、退職願は「お願い」
退職届と退職願は似ていますが、役割がまったく異なります。退職届は退職が確定した後に「退職します」と届け出る書類。一方、退職願は「退職させていただけないでしょうか」と会社にお願いする書類です。
ざっくり言うと、退職届は報告、退職願は打診。退職願は会社が承認する前であれば撤回できる可能性がありますが、退職届は提出した時点で労働契約の解除が成立するため、原則として撤回できません。
辞表を使うのは役員・公務員だけ
ドラマなどで「辞表を出す」というセリフを耳にしますが、辞表は社長や取締役などの経営層、または公務員が使う書類です。一般の会社員やパート・アルバイトが辞表を提出することはありません。間違えて「辞表」と書いてしまわないよう注意してください。
どちらを出すべきか迷ったときの判断基準
| 項目 | 退職届 | 退職願 |
|---|---|---|
| 役割 | 退職を届け出る | 退職を願い出る |
| 提出タイミング | 退職が確定した後 | 退職を申し出るとき |
| 撤回の可否 | 原則不可 | 承認前なら可能性あり |
| 文末の表現 | 「退職いたします」 | 「お願い申し上げます」 |
多くの会社では、口頭で退職を伝えた後に退職届の提出を求められます。会社指定のフォーマットがある場合はそちらを使いましょう。特に指定がなければ、この記事で紹介する形式で作成すれば問題ありません。
退職届の書き方と例文
退職届に書く7つの項目
退職届に記載する項目はたった7つ。順番に押さえていけば、迷うことはほとんどないでしょう。
1つ目は表題。用紙の中央に「退職届」と記載します。2つ目は書き出し。本文の最初の行の下部に「私儀(わたくしぎ)」と書きます。これは「わたくしごとではありますが」という意味の定型表現です。
3つ目は退職理由。自己都合退職の場合は「一身上の都合により」と書けばOK。具体的な理由を詳しく書く必要はありません。4つ目は退職日。上司と合意した年月日を記載します。西暦でも元号でもどちらでも構いませんが、社内の公式書類に合わせるのが無難です。
5つ目は文末の表現。退職届の場合は「退職いたします」と言い切る形にします。退職願のように「お願い申し上げます」とは書きません。6つ目は届出年月日と所属部署・氏名。提出する日の日付を書き、正式な部署名とフルネームを記載して捺印(シャチハタ不可、認印を使用)します。
7つ目は宛名。会社の最高執行責任者(代表取締役社長など)の役職名とフルネームを書きます。敬称は「殿」か「様」。自分の名前よりも上の位置に配置するのがマナーです。
退職届の例文(縦書き)
縦書きの退職届は、右から左に向かって次のように書きます。1行目の中央に「退職届」。2行目の下部に「私儀」。3行目から本文で「このたび一身上の都合により、令和〇年〇月〇日をもちまして退職いたします。」と続けます。
本文の後に1行空けて、届出年月日を「令和〇年〇月〇日」と記入。その次の行の下方に所属部署と氏名を書き、氏名の下に捺印します。最後の行に宛名として「株式会社〇〇 代表取締役社長 〇〇〇〇 殿」と、自分の名前よりも上方に配置して完成です。
退職届の例文(横書き)
横書きの場合は、項目の順番が少し変わります。まず1行目の中央に「退職届」。次に右寄せで届出年月日。その下に宛名(代表取締役社長 〇〇〇〇 殿)を左寄せで記入します。
さらにその下に所属部署と氏名を右寄せで書き、捺印。本文は「私儀」から始めて「このたび一身上の都合により、令和〇年〇月〇日をもちまして退職いたします。」と続けます。横書きでは日付の数字は算用数字(1, 2, 3…)を使うのが一般的です。
手書きとパソコンどちらで作成すべきか
結論から言うと、どちらでも問題ありません。法律上の決まりはなく、パソコンで作成してもマナー違反にはならないでしょう。
ただし、手書きの方が「丁寧」「誠意がある」と受け取られやすい傾向はあります。迷ったら手書きの縦書きを選んでおくのが無難。会社からパソコン作成の指示がある場合や、指定フォーマットがある場合はそちらに従ってください。
退職届の用紙・ペン・封筒の選び方
用紙はB5かA4の白無地便箋
退職届に使う用紙はB5サイズが一般的。A4でも構いません。白い便箋を使い、柄や色がついたものは避けましょう。罫線入りの便箋を使う場合は、ビジネス向けのシンプルなものを選んでください。
コピー用紙でも受理されないことはありませんが、やはり便箋の方が丁寧な印象を与えます。コンビニや文房具店で手軽に購入できるので、わざわざ高いものを用意する必要はありません。
ペンは黒のボールペンか万年筆
使用するペンは黒インクのボールペンか万年筆。油性でも水性でも問題ありません。ただし、摩擦で消えるタイプのボールペン(フリクションなど)は絶対にNG。時間が経つとインクが消えてしまい、再提出を求められる恐れがあります。
封筒は白無地・郵便番号枠なし
退職届を入れる封筒は、白無地で郵便番号枠がないものを選びましょう。B5用紙なら長形4号、A4用紙なら長形3号が三つ折りにしたときにぴったり収まるサイズです。
茶封筒はビジネス文書の送付用であり、退職届には不向き。中身が透けないよう、二重封筒(内側に色がついているもの)を使うとさらに安心です。
退職届の折り方・封筒への入れ方・封筒の書き方
三つ折りの正しい手順
退職届は三つ折りにして封筒に入れます。まず、退職届の書き出し(「退職届」の文字)が右上に来るように用紙を置きましょう。次に、用紙の下3分の1を上に折り上げます。最後に、上3分の1を下に折り重ねて完成。
ポイントは「下から上→上から下」の順番。開いたときに書き出しが最初に目に入るようにするためです。折り目がずれると見栄えが悪くなるので、定規を当てながら丁寧に折ると綺麗に仕上がりますよ。
封筒の表面・裏面の書き方
封筒の表面には中央やや上に「退職届」とだけ書きます。宛名や住所は書きません。裏面には左下に差出人として自分の所属部署とフルネームを記載します。
文字は黒のボールペンか万年筆で。鉛筆やシャープペンシルは使わないでくださいね。表面の「退職届」の文字はやや大きめに書くと、受け取った側がすぐに中身を把握できます。
封入の向きとのり付け
三つ折りにした退職届は、書き出し部分(右上)が封筒の裏側の上部に来る向きで入れます。封入口にのりを付けて封をし、封じ目に「〆」と書けばマナーとして完璧。セロハンテープでの封は避けた方が無難です。
退職届の提出方法とタイミング
基本は直属の上司に手渡し
退職届は直属の上司に直接手渡しするのが基本。会議室や応接室など、二人きりで話せる場所を選びましょう。デスクの上にポンと置いていくのはマナー違反です。
渡すときは封筒の表書きが上司の方を向くように、両手で差し出すのが丁寧な所作。「このたび退職届を提出させていただきます」と一言添えると、落ち着いた印象を与えられます。
提出のタイミングは退職日の1〜2ヶ月前
退職届を提出するタイミングは、退職日の1〜2ヶ月前が一般的。就業規則に「〇ヶ月前までに申告」と記載がある場合は、その規定に従いましょう。
ちなみに民法627条では、退職の意思を伝えてから2週間で雇用契約が終了すると定められています。就業規則の期間がこれより長くても、法律上は2週間で退職が成立するというのが通説。ただし、円満退職を目指すなら就業規則に沿った方がトラブルになりにくいでしょう。退職届の提出から退職完了までの全体像を把握しておきたい方は退職代行の利用手順・流れを解説もあわせてチェックしてみてください。
郵送で提出する場合の基本ルール
体調不良や入院中、ハラスメントで出社が難しいなど、やむを得ない事情で手渡しができない場合は郵送でも問題ありません。法律上、退職の意思表示に決まった方法はなく、郵送でも退職届は有効に受理されます。
郵送の際は、退職届を入れた封筒(内封筒)をさらに一回り大きな封筒(外封筒)に入れる「二重封筒」が基本。内封筒と外封筒のサイズの組み合わせは次のとおりです。B5用紙の場合は内封筒が長形4号、外封筒が長形3号。A4用紙の場合は内封筒が長形3号、外封筒が角形5号になります。
外封筒の表面には会社の住所と宛名を書きましょう。宛名は直属の上司か人事部の担当者の個人名がベスト。左下に赤字で「親展」と書き、四角で囲んでおくと本人以外が開封しにくくなります。裏面の左下には自分の住所と氏名を記載し、封をしたら綴じ目の中央に「〆」を書いてください。
確実に届いた証拠を残したい場合は、簡易書留か内容証明郵便の利用がおすすめ。簡易書留なら引き受けから配達までの記録が残り、受取人に手渡しで届けられます。「届いていない」と言われるトラブルを防げるので安心ですよ。
添え状(送付状)の書き方
退職届を郵送する際は、添え状を1枚同封するのがビジネスマナー。添え状がないと、いきなり退職届だけが届くことになり、受け取った側の印象がよくありません。A4用紙1枚にパソコンで作成すればOKです。
添え状に盛り込む項目は7つ。右上に「投函日の日付」、左寄せで「会社名・部署名・上司の氏名」、右寄せで「自分の所属部署・氏名」、中央に「退職届送付のご連絡」などのタイトル。本文は「拝啓」で始め、退職届を同封している旨と郵送になったお詫びを簡潔に書き、「敬具」で結びます。最後に「記」と書いて「退職届 1通」と同封書類を明記し、「以上」で締めくくれば完成です。
本文の例としては「拝啓 時下ますますご清栄のこととお喜び申し上げます。このたび一身上の都合により退職することとなりました。つきましては退職届を同封いたします。本来であれば直接お渡しすべきところ、郵送でのご連絡となりましたことをお詫び申し上げます。ご査収のほどよろしくお願いいたします。敬具」といった形で十分。長々と書く必要はありません。
郵送後にやっておくと安心なこと
退職届を発送したら、上司か人事担当者に「本日退職届を郵送しました」と一報入れておくのが丁寧です。メールやチャットなど記録が残る方法で伝えておくと、届いたかどうかの確認にもなりますよね。
直接連絡を取るのが難しい状況であれば、内容証明郵便を使うことで「いつ届いたか」の証拠が残せます。内容証明郵便については、この記事の後半「退職届を受け取ってもらえないときの対処法」でも詳しく触れています。
退職届を受け取ってもらえないときの対処法
上位の上司や人事部に提出する
直属の上司が退職届の受け取りを拒否するケースは、残念ながらゼロではありません。そんなときは、上司のさらに上の上司に「直属の上司に退職を申し出たが取り合ってもらえない」と相談しましょう。
それでもダメなら部門長へ、さらにダメなら人事部へ。決裁の順番に沿って段階的に話を上げていくのがポイントです。直属の上司を飛ばしていきなり人事部に行くのは、かえってトラブルを招きかねません。
内容証明郵便で送付する
口頭でも書面でも受け取ってもらえない場合は、内容証明郵便という最終手段があります。内容証明郵便は「誰が・いつ・どんな内容の文書を送ったか」を郵便局が公的に証明してくれる仕組み。費用は1,500円程度です。
内容証明郵便が届いた日から2週間後に雇用契約は自動的に終了。会社が受け取りを拒否しても、届いた事実は郵便局の記録に残ります。つまり、最終的には必ず辞められるということです。
なお「損害賠償を請求するぞ」と脅されるケースもまれにありますが、正当な手続きで退職する限りリスクはほぼありません。損害賠償が認められた判例の実態や条件については退職代行で訴えられる?損害賠償リスクの実態と対策で詳しく解説しています。
それでも退職が進まない場合の選択肢
何度提出しても無視される、そもそも上司が怖くて手渡しできない、退職届を目の前で破られた。こうした極端な状況に追い込まれている方もいるかもしれません。
そんなときは退職代行サービスの利用を検討してみてください。あなたに代わって退職の意思を会社に伝えてくれるため、上司と一切やり取りする必要がなくなります。退職届のテンプレートを無料で提供しているサービスも多いので、書き方で悩む心配も不要です。
退職代行の仕組みや弁護士型・労働組合型・民間型の違いについては退職代行とは?仕組み・種類・選び方をわかりやすく解説で基礎から説明しています。具体的にサービスを比較したい方は退職代行おすすめランキングもあわせてどうぞ。
よくある質問
退職届は提出後に撤回できますか?
原則として撤回はできません。退職届は提出した時点で労働契約の解除が成立するとされています。退職願であれば、人事責任者の承認が下りる前なら撤回できる可能性はありますが、確実ではありません。いずれにしても、覚悟が固まってから提出することが大切です。
会社都合退職でも退職届は必要ですか?
会社によっては、退職理由にかかわらず退職届の提出を求めるケースがあります。その場合、退職理由の欄に「一身上の都合」と書いてはいけません。「事業部門縮小のため」「早期退職のため」など、会社都合の具体的な理由を記載してください。「一身上の都合」と書くと自己都合退職として処理され、失業保険の受給条件が不利になる場合があります。
退職届をメールで送ってもいいですか?
法律上はメールでの提出でも退職の意思表示として有効です。ただし、マナーとしては手渡しが望ましいとされています。入院中などやむを得ない事情がある場合は、まず上司にメールで事情を説明した上で、退職届の提出方法を相談するのがスムーズでしょう。
退職届を出した後いつ辞められますか?
民法627条により、退職の意思を伝えてから2週間で雇用契約は終了します。有給休暇が2週間分以上残っていれば、退職届の提出後に有給を消化してそのまま退職することも可能。実質的に即日退職と同じ状態を作れるわけです。
まとめ
退職届の書き方自体はシンプルです。表題、書き出し(私儀)、退職理由(一身上の都合)、退職日、文末表現、届出年月日と署名、宛名。この7つの項目を順番に埋めていけば完成します。
用紙はB5かA4の白無地便箋、ペンは黒のボールペンか万年筆、封筒は白無地で郵便番号枠なし。三つ折りにして封筒に入れ、直属の上司に手渡しするのが基本の流れです。
退職届を書くこと自体は難しくありませんが、問題は「その先」ではないでしょうか。受け取ってもらえない、そもそも上司に渡す勇気が出ない。そうした壁にぶつかったときは、退職代行という選択肢があることも覚えておいてください。各サービスの料金や口コミは退職代行おすすめランキングで比較できます。退職代行の基本から知りたい方は退職代行とは?仕組み・種類・選び方を解説を先にチェックしてみてください。


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